英語の源流
英単語をどうやって覚えようかと苦労している生徒さんも多いと思います。
何事もそうですが、物事を進める上でこれ一つで全てが事足りるというようなものはありません。
英単語暗記法もこれだというベストの方法は残念ながらありません。
ただ幾つかの方法を試してみて、ベストあるいはベストではなくても比較的自分に合ったもので、単語を覚えていくしかないのです。
そして、その一つが「語源で覚えていく」というものです。
この方法も今に始まったことではなく、昔から言われていたものです。
英語の大辞典と言われるものにはほとんどの単語に語源が載っています。
単語の意味だけを調べてすぐ辞典を閉じてしまわず、その単語の語源の箇所を見てみる余裕のある人、あるいは英語が好きでその単語の載っているページ全体を見てみる人は英単語がギリシャ語・ラテン語に由来していることを知るはずです。
そう、英語はゲルマン系の言語だと言っても、結局は西洋の文化の源流はギリシャ・ローマなのです。
大きな歴史の流れに思いを馳せながら、英単語を覚えて行きましょう。
接頭辞 Prefix
今回は語源の中でも、具体的には単語の頭に付ける接頭辞 prefix と呼ばれるものについてお話しします。
prefixという単語自体も
pre- <前に、先に>という接頭辞(接頭 頭につなげる+辞 それ自体では単語ではないが、単語にくっ付いて意味を生み出す小さな文字数)と
fix <固定する>
という単語からなっています。
一方、単語の語尾につけるのは接頭辞 suffix と言います。
BFF をアンフォロー
ネットの記事などで「誰々、特に有名人、のツィッターやインスタグラムをフォローする」「フォロワー数が ...」という表現を目にすることが多いと思います。
ある日、若者に人気の歌手が周囲にBFF(Best Friend Forever 永遠の親友)と思われていた、これも人気の歌手/俳優/モデルの誰かのツィッターを<アンフォロー>して話題になります。
英語に興味がない人でも、インターネットが私たちの日常を覆い尽くした現在<フォロー>の意味をほとんどの人が知っているので、相手のフォローをやめたんだなとすぐに分かります。
<アンフォロー>は<フォロー>の反対の行動、すなわちフォローを外したのだと瞬時に理解できるのです。
この時の<アン>はまさに接頭辞の un- で否定の意味になります。
un- は動詞 un-cover 、名詞 un-kindness 、形容詞 un-happy 、副詞 un-happily などに付けて<否定>の意味を表します。
接頭辞・接尾辞ともにたくさんありますが、その中から接頭辞でよく目にするものを5つほど挙げます。
re-
再び、反復
repeat reuse 再利用(する)
recycle 再循環させる
replace 再び置く→置き替える、元に戻す
remind 心に再びのせる→思い出させる
un-
否定の意味
unarm 武装を解除させる arm 武装させる
unlock 錠を開ける
unsay 前言を取り消す
unlit 証明のない
unable unclear
un-English 英国的でない
pro-
賛成の
pro-American アメリカ支持の
pro-war 主戦論の ↔︎ antiwar pros and cons 賛否両論
前方へ
proceed 進む
produce 前に導く→製造する、生み出す
prologue 前口上、序文
ex-
外に/へ/から
export 外に運ぶ→輸出する ↔︎ import
expel 追い出す
exit exotic exhale ↔︎ inhale
exclude ↔︎ include
過剰
exceed 超過する、限度を超える
excess
in- (b, m, p の前ではim-となります)
内に/で/へ
income inland 内陸の、国内の
inscribe 内に書き込む→書く、銘記する
induce 中に導き入れる→引き起こす、帰納する
inhabit
不/非/無
inexpensive incorrect incredible inappropriate informal
impatient imperfect impolite impossible immoral
語源を覚えるのは効率的?
幾つか分りやすい単語の例をあげましたが、これらの単語ですぐ意味が判るのは、結局、語根が分かっているから分かるのだ、ということです。
<アンフォロー>が分かったとしたら、それは日頃から<フォロー>という言葉を目にし/耳にしているからです。
impossible の意味を推測できるのは possible の意味を知っているからです。
土台となる単語=語根の意味を知らないと、始まりません。
接頭/尾辞は膨大な数になります。英語は派生語と言われます。
つまり英語という言語が自らを拡大していく時にわざわざ新しく語を作らずとも、接頭辞・接尾辞を語根に付けることによって語を増やして行くのです。
ですから英語の語彙数は100万語を超えるもので、今も日々外来語なども取り入れつつ、自らの語数を増やしています。
接頭辞・接尾辞を単語暗記のために覚えるのには大変な時間を要します。それでしたらその時間を英単語そのものの暗記に向けるべきです。
Walk, Don't Run.
既に亡くなられた高名な言語学者の先生に昔、時々フランス語を教えて頂きました。
その時、一度、「急がば回れよ。」と言われました。
結局、物事を手っ取り早く行おうとして、近道を探してもそんなものはないのです。
焦って走り出し、大事な基本を飛び越して、その先で転んでしまっては何もなりません。
遠回りと言っても、それは「正道に戻れ」という意味です。
むしろ安全な道を取って、コツコツ進んで行けば、目的地に安全にしかも結果的には速く到達出来るのです。
スポーツだったら基本の単調とも言える練習を繰り返さないと体が出来上がりません。
ピアノだったらハノンをおざなりにしない、そうでないと、いきなり名曲は弾けません。
画家のピカソの子供の頃の絵は見事なリアリズムで描かれています。
現在私たちがピカソの絵に対して持っているイメージ、あの多様な視点を一つの画面に同時に配置する手法は先ず基本の絵画手法を完成させた上で、出て来たものです。
英単語を覚える一助として、ああ、この接頭辞・接尾辞にはこういう意味があったと、あくまでも記憶の補強で使うのはいいと思いますが接頭辞・接尾辞を先に覚えるのは本末転倒です。
覚えやすい接頭辞・接尾辞を10くらい覚えたら十分でしょう。
あとは折に触れてインプットし、覚えるべき英単語そのものに向かって下さい。
その時コーチとして家庭教師はあなたのお手伝いが出来ます。ぜひ利用して下さい。