暗記から記憶へ
前回の英単語暗記法ではお薦めの一例として、暗記方法を書きましたが、実は私の暗記法は少し違ったものでした。
もともと外国語に憧れていたので、中学に入って英語の授業が始まり、それだけでもワクワクしていました。家ではよく英語の教科書を開いては音読をしていました。長時間ではなかったし、毎日でもなかったのですが、かなりな頻度で音読をしていました。すると当時はあまり意識していなかったのですが、自然と単語も構文も頭に入って来ました。
当時のんびりとした子供で、友達とたまに遊ぶか、大抵は家にいて、本を読んだり、テレビを見たりの日々でした。教室で受ける授業が全てで、それをどのくらい理解しているのかを試験で測るのだから、それが実力だと思い、授業以外では勉強をしない日常の日々を送っていました。試験のために勉強をするという発想が全くない子供だったのです。
ところがある日、中一の期末試験前だったか、友達とおしゃべりしている時に、試験勉強の話が出て、みんなしていることに驚きました。友達の方も私が試験に向けて勉強しないことに、信じられないという面持ちで、ビックリしていました。そして私はこの時初めて試験勉強はするものだと知りました。相変わらず苦手な科目はあるものの、英語や国語は試験勉強をすることで、高得点を取ることが出来るようになりました。正しいやり方で勉強すれば勉強は出来るようになるのだという当たり前のことを悟りました。以後、英語は中学・高校でクラスでずっと一番でした。
具体的な覚え方
さて英単語ですが、捨ててもいい紙の裏に、単語を発音しながら1単語10回くらい書いて、だいたい頭に入ったと思ったら、また次の1単語を10回くらい書いてを繰り返して、綴りを覚えて行きます。入試で単語を綴る問題は滅多に出てきませんが、一つの単語を覚えるということは、きちんとその単語を綴ることが出来、なおかつ正しい発音が出来るということです。出来ればネイティブの音声を聞いて、発音を確認すればさらに効果的でしょう。私たちはネイティブ並みの発音を求められてはいませんが、desk を「ドスク」とインプットしていてはリスニングやスピーキングで使い物になりません。先ずはその単語を正しく読めること、次に正しく綴れることが
英単語暗記の基本です。
そして単語帳の例文に必ず目を通します。暗記する必要はないですし、実際、すべての例文を暗記することなどは不可能です。例文を何のために読むかというと、その単語が文の中でどのように使われているかを知るためです。
動詞の場合はその形(格変化と言います。)を見ます。能動態なのか、主に受動態で使われるのか、どういう時制で使われるものなのか。また、名詞や形容詞の単語は他のどんな単語と結び付く事が多いか(連結と言います。)
を確認します。例文の暗記は無理ですが、何回か見ていくうちに、頭のどこかにうっすらと残ればそれで十分です。つまり、1単語をただ覚えるだけでは忘れやすいので、文脈の中で覚えるようにしましょう。中学生の時に教科書を音読することによって、私は教科書の文章の文脈の中で期せずして覚えていたことになります。
英語の長文を読み、問題を解きながら、単語を覚えていく方法もありますが、先ずは中学・高校の教科書の単語を
全てクリアしてから、市販の単語帳に挑戦して下さい。
具体的なやり方としては、あまり英語が好きでない方は1日10〜15分、好きな方は1時間くらいやって下さい。紙と鉛筆を用意して、先ほど述べたやり方でやって下さい。そのとき無理な計画を立てず、1回の量は無理のない範囲を決めます。その範囲を完全に覚えたら、翌日次の範囲へと進みますが、最初に前日やったところを必ずざっと復習します。忘れた単語だけ発音と綴りを練習すればいいでしょう。
急がば回れ
結局勉強とは「急がば回れ」なのです。いい加減な綴りと発音を付け焼き刃で覚えても、最終的に記憶に定着することはありません。
私たちは好きな人や好きな事柄をどうして忘れてしまわないのでしょう。多分それはその人やその事柄を日々の中で思い起こしているからです。道を歩いている時、車中で、勉強中、ぼんやりとしている時などに、ふとその人のことや自分がハマっていることなどを、私たちは思い出さなかったでしょうか。remind 「思い出させる、思い出す」という単語は re- + mind という単語から成り立っています。 re- は再び again という意味の接頭辞、mind は精神/心という意味です。「再び心に乗せる→思い出す」です。re- とは「何回も」という意味です。わずかなスキマ時間はこの思い出し効果を使って、単語の復習を行ってください。
こう書くと大変なように思われるかも知れませんが、実際に始めてみると心配しているほど、難しくはありません。でも独習で、もしうまくいかないようでしたら、家庭教師と相談して、毎回レッスン始めの10分くらいで単語テストを受けるのもいいでしょう。上述の方法でやってみて、どうしても上手くいかないようでしたら、他の方法を試してみればいいのですが、半年くらいはこの方法を信じて、頑張ってみましょう。
ただ単語は基本中の基本だからこそ、一人で頑張るよりは、ここはベテランのコーチの指導が必要なところだと
思います。
まとめ:
☑️ 紙と鉛筆を用意する。
☑️ 単語を目で見ながら、手を動かし、声に出し、自分の声を聞きながら覚える、すなわち五感をフルに動かして
英単語を自分のものにしていく。(この辺はスポーツのノリで。)
☑️ まずは教科書に出てくる単語を全てクリアする。
☑️ 次に長文問題の単語か市販の単語帳を覚えていく。